今、京都はきれいだ。桜が散り始めているけれど、柳なんかの新芽がきれいで、それに引き止められてか競馬場に行く前に連れとのほほーんと煙草を吸っていた。四条あたりで、見向きもしない猫にちょっかいだしたりしながら、楽しかったわけだけれど。
京都の町は空襲を受けていないのだなあ、と太い桜が並んでいるのを見て思った。僕の住んでいるところは空襲があったのか、なかったのかは知らないけれど大きな木というのが極端に少ないから、故郷に似ている気がして少しばかり嬉しい。まあ京都ほど人はいなかったけれど。
大学生、しかも1、2回生ぐらいだろうか。写真をたくさんとっている人がいて、多分、人物を被写体にしたかったのだろうけれど、言い出せなさそうにもじもじしていた。俺らでいいならいくらでも写せば良いのに、と連れと言い合うも、まあ華やかな花の散る午前の京都ってなフレームに収まるような柄ではないので、競馬場へ行く。
皐月賞は見事に外れて、もう生き物のことは本当にわからないなあ、と思った。京都競馬場は桜シーズンにはレースを開催しないので桜なんて一本も無く、何故か知らんが阿呆みたいに強い風が吹いていて、まあこのフレームなら、そこそこ嵌るんではないかな、とか思ったけれど、それにしても、石橋、高田って、もう泣きたかった。