読んだよ

自分探しが止まらない (SB新書)

自分探しが止まらない (SB新書)

本屋に行って直木賞受賞作を買おうと思ったが財布に三千円しか入ってなかったので(京都記念のバカ!!)こちらを購入。最近、インターネットの海を巡るとこの書評に当たることが多かったので興味はあったの。
自分探しってなんなのだー。と、この本を読んでまだ思っている。どこまでが自分探しで、どこからが自分探しじゃないのか。本書のからちょっと例を挙げてみる。『中田ヒデ』、『元格闘家須藤』。このあたりは自分探しっぽい。『あいのり出演者』台本があるにしろないにしろ、これもタテマエは確かに自分探しっぽい。『路上詩人』まあこれは自分探しかなあ。『イラクに行って拘束された、または殺害された日本人』おれはこの辺りから悩む。本当の自分を探しにイラクに言っちゃったって訳ではないよなあ。後半で自分探しビジネスとされてるものに、ホワイトバンドや新風社なんかがある。ホワイトバンドを買ったり、自費出版したら自分探し?結局は自分探しなんて言葉は、現状への変化へにまとわるある種の臭さなのだと思う。ニューエイジ系で1ポイント、海外放浪は1ポイント、スピリチュアルな話で1ポイント、みつおだか326だかのポエムで1ポイント、2ポイント溜まった状態で「本当の自分を探しに」なんて自分で言い出したら確定ランプ。「自分探し(笑)」の出来上がり。
世知辛い世の中で生きていくうえで、薄っぺらい自分を肯定しながら生きているおれみたいなやつは、『自分探し』と聞くと現状の自己否定みたいな感じがして嫌になるので、『本当の自分』なんて言わないし、インドの奥地や世界放浪の果てにそんなものがあるなんて思っても無い。だけど『自分探し』と嘲笑したところで、はじめて行くキャバクラにうきうきするてめえも同じ穴のムジナ。『自分探し(笑)』にならないように、本当の自分を探しに新しく出来た、すんごいらしいキャバクラへ行きます!なんて言わないし、どうせならエロのレッテルの方を貼られたいからそういう風にもっていく。『自分探し(笑)』はアリがキリギリスに付けた蔑称の部分は大きい。自分探しとは現実逃避の言い訳要素もあるんだから。*1おれはまだギリギリであってもアリの側に居たい。
やはり楽しく変化を求めて生きていたいので、結局のところあちらの言葉を借りて言っちゃえば『人生は自分探しの旅(笑)』ただ、自分探しなんてちょっとおいしそうなものの近くには、落とし穴やら金の臭いに釣られてきたこわーいものたちがいっぱい。搾取されたり、躓いたり、穴に落ちて死なないように、そういう注意は必要と。*2そういうことをこの本を読んで思いました。

*1:自分探し=現実逃避で括っちゃえば感想も書きやすいのだけれど、この本では自己啓発や就職活動の自己分析も自分探しになってるし、前にも書いたホワイトバンド購入者や自費出版利用者も自分探しなので、困っちゃうのである

*2:ロクに触れてないけどここの掘り下げがメインの本だと思います