同じアパートに住む友人が、金曜の夜だからかなんだかしらんけれども、インターネット回線が重いのでエロ動画がダウンロードできない。よってエロDVDを貸せという、至極わかりやすい頼みごとをしてきたのである。
まあ僕もここに暮らして三年と半年ほど経っているので、そういった種のDVDはいくつか所持しているわけなんだけれど、スピリッツに連載されていた漫画にあったように、間違って変な種類の(漫画では獣姦であった)ものを貸したならば、子々孫々まで馬鹿にされる。これはある種のスタンダードなものを貸さねばならん。それは盗撮物でも強姦物でもあってはならぬと強く意識してDVDが入っているプラスチックの箱をまさぐったところ、出てきたDVDは全てが紋舞らん主演のものであり、自分のスタンダードな性癖に安心する(そう思いたい)と同時に、なんちゅう単純な奴であるのかと、自問自答した。
訪ねてきて戸を叩く友人に、これで良いかと適当に見繕った5本の内2本を手渡したら、友人は「ほっほーい、オールオッケー」と親指を立てて喜んだ。どんな経緯であれ、他人を少しばかり幸せにしたので今日という日も意味があったのであろうと思いたい。
山々の木々も良い色に染まってきてなどと云う日記を毎日記せれば良いのだろうけれど、現実に忠実であるならば、僕の日常はこういった事も混じるのである。僕は現実にある程度は忠実でありたい。