13 (角川文庫)

13 (角川文庫)

この本を読んで、はじめのうちは少しガタラの豚みたいだなあなんてことを思ったのは、アフリカの文化が詳しく描かれていたからだが、ガタラの豚”的”みたいな〜的で括れる本では全く無かったのは物語の流れか、文体によるものか。とにかくベタだとは全く思わなかったが、全く分からない感情が呼び起こされるのではなく、面白いと思わせられたということは、ある程度心に響くことがらが巧い技術で新しく書き記されているのだろうなと思う。
『橋本響一は26歳の時に神を映像に収めることに成功した』この冒頭の一文から始まり、片目だけ色盲による主人公が見る全く別の世界の提示、そしてアフリカのキンシャサで始まってゆく序盤はもう、とても面白かった。終盤はSF作品にあるような落としどころに向かっていく感じはしたものの、とても面白い小説でした。