冷凍庫からクソ暑い外に荷物を運び、また冷凍庫へ。それの繰り返し。
死にそうな金魚を生き返らす術として、お湯と冷水に繰り返し付けなさいなんていう方法を何処かのおっさんから教わり、律儀に試したガキの時分のおれが居たが、その金魚は死んだな、いやー塩水と真水に繰り返しつけるんやったわーとおっさんが言ってたな、そんな事を思ったりしていたのだが、やっと休みになり、実家に帰り、焼酎を井戸水で割って飲んでいる。
家の裏にある畑兼庭には親父が好きだという女郎花が咲き誇り、間を縫って、カンナ、葉鶏頭、ひまわり、ビオラといった花が顔を見せていて、いかにも夏といった感じであるが、畑の奥に見える田圃は稲穂が垂れ始め、鳴いているセミにしてもツクツクホウシって鳴くあいつであり、八月二六日はそれなりの季節であるなあ、と思った。
死んだ魚を流した裏の川も、西の山も、匂いも、いろいろと何にも変わって無くて、おれの街はもうどこにも無いが、故郷だけはあるのだなあ、と、テンプレ的な感情をネタにもう一杯酒を飲み干し、気分良くなって古い友達と今からまた遊びに行く。