一月七日を回ったけれど七草粥なんていうものは当然食べていない。
小学低学年の時分には、おかんに喜んでもらおうと草を集めていた。スズナスズシロってのはカブと大根だからどこぞの畑から引っこ抜いてくることは出来ないので残りの5つの草を集めるわけだけれど、これが意外と難しかった。田舎に住んでいたのに。
セリはそのまま川べりに行ったらある。ナズナはどこでも生えている。ハコベラなんてのは鳥のえさにしていたくらいなので畑に行ったら生えている。ただ問題はゴギョウホトケノザなんである。ホトケノザなんていう草は本当に有り触れた草でピンクの可愛い花をつける野草なのだけれど七草粥のものとは違うらしい。七草粥で使うホトケノザハハコグサって草で、なんつーか食えないような野草で、近所のじいさまに聞いたときには驚いた。黄色い花をつける草だけど、どうにも食えなさそうな姿形をしているのに。それでもってゴギョウは未だにわからない。タビラコという草とさっき知った。オオバコという草のことと思っていて採っていたのだけれど。
つまるところ僕は未だに七草粥を食べたことが無い。それでも健康に生きている。昨日はカレーを食べた。馴染んだ味で感想なんてのも特に浮かばない。故郷では未だに七草だとか雑草が幅を利かせてるんだろう。そしてもうすぐ木蓮が咲いて沈丁花が香りつくしが出る。山桜はまだ少し先だろうか。知らない街に越してきて3年経ったが未だに季節感がつかめない。色々な人が桜を待つ理由がまた少しわかった。